障害児を普通学校へ全国連絡会会報 2018年4月363号巻頭文

共に育つことで「バリア」なくなる

障害児を普通学校へ・全国連絡会  代表 長谷川律子

暖かな日和の三月二日、参議院会館のロビーには遠くから全国交流集会を開催していただいた九州の現地実行委員の方をはじめ、多くの方々が全国から集まり始めました。その傍らでは私たちとはちょっと違う和・洋装の方々が集まっていて、議員さんを訪ねて陳情かな? 物見遊山に来たのかな、と見いっていた私。都心に来る機会が少ないので、議員会館は緊張の場所です。
翌三日は、全国連二〇一八年度の総会です。「地域の学校で共に学び・共に育つ」を掲げ活動して三七年になります。障害者権利条約・障害者基本法・障害者差別解消法・学校教育 法改正…様々な動きがありましたが、しっかり機能しているのか? 現場はどうなっているのか? いじめられている親子は減ったのか? 等々。残念ながら全国連への相談は「つらい」訴えが絶えません。
文科省との交渉は、神本美恵子参議院議員のご協力で設定されました。文科省側からは二人の若い官僚が、あらかじめ用意してきた回答を読み上げるのみで、全く心に響かない声でした。おそらく、養護学校義務化での「共に」生きる側の当事者の生の声を聞いたことはなかったのでしょう。
文科省は「本人・保護者の意見を尊重」と言いつつ、聞き置くのみで原則普通学級は認めない。「就学通知も一月三一日までの発送が、未だに受け取っていない親子がいる」との訴えには、こうした実態を把握していないとの回答。
全国連はこうした文科省交渉を何度も行っていますが、その実績が積み重ねられていきません。今回も文科省は、差別むき出しというか本音を公言したというか、言葉巧みにすり抜けてきました。しかし、言質は崩れたと思います。
法の下に平等とは分けて考えてしまったら不平等であり、憲法違反になりますね。誰にも罰せられることはないし、私達の権利として、胸張って言い続けることが必要です。

最近は世の中の軸足が、ブレまくっていると感じている人が多いのではないでしょうか。新聞の記事から借用すると、「国難」「異常事態」という活字が気になる私。特別支援学級・学校と振り分けの強化や、教育内容の変質で道徳の教科化や、オリ・パラに向けて「心のバリアフリー・ノート」の配布を企画してくる文科省。国は共生社会に向けて行動すると言っています。が、おかしい。
子どもの数が減っているのに、特別支援学校や学級が増えている。これは普通学級からの追い出しや保護者の意向を無視した強制措置でしょ。これこそ「異常事態」。「心のバリアフリー」って共に育つこと で子ども同士が自然に身に着けていくものではないでしょうか。自分と社会の捉えなおしだと思う。相模原事件は、私達の問題としての「バリア」である。これが「国難」。

さて普通学校への就学通知が届いた親子さん、転学を認めさせた親子さん、みな自分との闘いで、手に入れましたね。壁にあたり、思い悩んだことがいきてきますね。がんばればいいことがある証です。
全国連の出番はますます増えるでしょう。会員の皆様と情報を共有し、ネットワークを拡げ活動していきます。事務所にいつでも足を運んでくださるとうれしいです。そして若手へのバトンタッチも念頭に 新年度の活動をスタートします。

他、記事は以下の通りです。お読みになりたい方は、この機会にぜひご入会下さい。

●巻頭 共に育つことで「バリア」なくなる/怒りを新たな運動のエネルギーに~文科省交渉報告~/2018年度世話人会報告/総会 施行令の改正を求める運動方針を修正し確認/2018年度役/●学習会 世界の国々はどのようにインクルーシブ教育を勧めているか、パラレルレポートに対する全国連の取り組み方について/2017年度決算報告・監査報告/2018年度予算/普通学級に転籍して1年がたちました/●相模原障害者施設殺傷事件を問い続ける フォーラム以降/運営委員会こぼれ話 その18 /●相談からコーナー / /各地の集会案内/事務局から/事務局カレンダー