2011年3月2日

「障害者基本法改正案」に対する当会の抗議声明

2月14日の内閣府が第30回「障がい者制度改革推進会議」に提出した「障害者基本法改正案」に対する当会の抗議声明を、2月28日付けで出しました。いかに全文を掲載します。

障害者基本法改正案に関する声明

障害児を普通学校へ・全国連絡会(全国連)代表  徳田 茂     

私たち障害児を普通学校へ・全国連絡会は、2月14日の第30回の推進会議に提示された「障害者基本法の改正について(案)」の、「教育」(17)の部分が、ほとんど現行法と変わることのないことについて、強く抗議します。政権交代によって、それまでの政府の取り組み方を改革し、障害当事者もメンバーとして参加し討議を重ねてきた推進会議は、二度にわたっての意見をまとめました。第一次意見は閣議決定もされました。

教育について第二次意見では、・障害のある子どもはインクルーシブな教育制度の中で教育を受ける権利を有していること、・障害のある子どもとない子どもが同じ場で学ぶことができることを原則とした上で特別支援学校や学級を選ぶこともできること、・就学先の決定は本人、保護者の意に反さないことを原則とすること、・合理的な配慮や必要な支援が行われる施策をおこなうこと、と言われています。

これは、当会発足以来30年にわたり、現状の分離別学制度の中で、地域の学校や教育委員会からの排除の圧力に抗して、地域の学校で共に学ぼうとする子どもたちや親たちと共に歩んできた私たちの取り組みが、正しかったと思わせてくれました。私たちは、この1年間、まさに格段の施策の転換を期待し、推進会議の論議を大きな期待をもって見守ってきました。

しかし、2月14日に提示された改正案は、そうした推進会議の取り組みや閣議決定すらも踏みにじったものでした。特に教育については、不要な語が挿入されただけで、現行法と何ら変わるものではありませんでした。一方においては、共に生きる社会をと言いながらも、これまでの教育施策は一切転換させないと言っているのです。これでは障害者権利条約の理念はなんら反映されません。この1年間はいったいなんだったのかという腹立たしい気持ちでいっぱいです。

文科省は、「時期尚早で現場が混乱する」「予算がない」「市町村会が反対している」等の理由をあげて反対していますが、全国連では、30年間、共に学ぶ取り組みを続けてきました。国の予算の裏づけがない中、地域や、学校の様々な工夫がなされてきました。交渉の中では、むしろ、区市町村の教育委員会は、「国の法律が変わってくれたら」とも言っていました。反対の理由は成り立ちません。

私たちは、文科省の反対によって、このような「改正」案が提案されたことに怒りをもって強く抗議します。文科省が障害者権利条約を平然と無視し、原則分離の教育制度に固守しようすることは絶対に許しません。推進会議の意見を反映した改正を行うことを強く強く求めます。

2011年2月28日