障害児を普通学校へ全国連絡会会報 2014年10・11号 329号巻頭文

第11回「障害児」の高校進学を実現する全国交流集会in北海道

~高校も分けないで! 一緒がいいっしょ!~

現地実行委員会事務局 服部宗弘

2013年1月に佐賀において、北村小夜さんから開催要請を受け、以降、1年8か月間に14回の事務局会議、14回の現地実行委員会、3回のプレ集会を経て、9月20日(土)、21日(日)札幌かでる2・7にて北海道集会を開催することができました。参加者数は、366人で道外から86人、北海道からは280人でした。
 北海道大会の特徴は、当事者団体のDPI北海道ブロック会議とピープルファースト北海道が共催し、実行委員会に入ったこと、札幌市が後援となったことです。実行委員長にはインクルネットほっかいどう代表、DPI北海道ブロック会議理事の山崎恵さんが就任。当事者を主体に共に学ぶ運動団体が結集。それを労働団体が支え、行政が後押ししてくれました。

全体会(1日目)

 かでる2・7大ホールにて、全体会が行われました。全国・全道から集まった参加者で溢れかえる中で開会行事、シンポジウムで各地からの報告、当事者によるリレートークという内容です。シンポジウムでは、コーディネーターの南舘こずえさんが進め、愛知の川本道代さん、神奈川の柳沢恵美子さん、東京の山田真さん、千葉の佐藤陽一さん、埼玉の竹迫和子さん、北海道の堀由利枝さん、指定発言として大阪の鈴木留美子さんから各地の高校進学についての報告が行われ、会場からは「特別支援学校に行かせているが、できるなら高校に行かせたい。知恵をもらいたい」「配慮を求めても、対応してくれない。どのように求めていけばよいか」などの質問が出され、「普通高校に行きたいという本人と保護者の気持ちを支えるには、多くの人が必要。北海道には受け止めようとしている先生も多い。ぜひ、切り開き役になってほしい。普通高校で普通に学ぶことは、良い経験悪い経験も積む。特別支援学校で行われている個別の支援はないが、クラスや学校の先生方などのいろんな人の輪が広がる」などの意見が出され、各地のとりくみに多くのことを学びました。

 リレートークでは、北海道の当事者の発言を皮切りに15人の方から、「小学校・中学校よりも高校のほうがたのしい。介助者がそばにいないので、帰りも友達と帰ることができる」「後輩ができたことがうれしかった」「高等養護学校へ1日行き、すぐ学校をやめた」「わたしも高校へ行きたくなった」などそれぞれ高校に対する思いが語られ、大変好評でした。

 その後、会場近くのポールスター札幌にて190人の参加で懇親会を開催しました。会場では山郷将久さんのピアノ演奏で歓迎し、ピープルファースト北海道代表の土本秋夫さんの挨拶・乾杯で開会しました。北海道集会では、歓迎の気持ちと集えた喜びを分かち合いたくアトラクションに重きを置きました。前半は山郷さんが明るい雰囲気の軽やかな曲と優しい雰囲気の曲を織り交ぜ、ピアノ曲最後の『飛翔』(シューマン)は参加者の今後のご発展を祈って、演奏最後の『ピアノマン』(ビリー・ジョエル)の弾き語りはここに集える喜びをあらわしてくれました。中盤においては北海道十勝アイヌの「フンべシスターズ」が歌と踊りで、アイヌ民族の文化を紹介し、参加者へ歓迎の意を込めました。最後は当事者バンドの北方派五分楽団が参加者全体を巻き込んだ演奏をし、大変盛り上がった懇親会になりました。合間に各地からの参加者紹介や来年の全国連全国大会開催地の神奈川県から挨拶をいただき、最後は、副実行委員長の四村真さんが乾杯の音頭をとり、大盛況の中楽しい懇親会が終了しました。

分科会(2日目)

 2日目は、4つの分科会に分かれて熱心な討議が行われ、インクルーシブ教育に向けた実践や課題が報告される一方、「合理的配慮は、インクルーシブな教育を目指すことであり、差別を解消するために合理的配慮が保障される」という基本的なことが浸透していず、「その人に合った場で、その人のしたいことを実現するための配慮を求めていけばよいのではないか」「共生社会に参加する力をつけるために、別学の場でもよいのではないか」という考えが、強くなっているのではないかという問題も見えました。時間が少なく、その辺りを深めることができず残念ですが、今後の全国交流集会で討議をお願いしたいと思います。

 閉会行事も200人定員の大会議室で行いましたが、これも満席となり立ち見の方が多く出ました。各分科会報告は、各分科会協力者の山田真さん、北村小夜さん、田口康明さん、大谷恭子さんから感想も含めて多くの示唆を含んだ報告があり、来年の全国連全国交流集会開催地の神奈川県の柳沢恵美子さんからの挨拶、副実行委員長の四村真さんから閉会の挨拶があり全日程を終了しました。

 2年近くの準備を経ての全国交流集会でしたが、「国連障害者権利条約」を批准した記念すべき今年に「高校も分けないで!一緒がいいっしょ!」をテーマに北海道から全国に発信できたのではないかと思います。しかし北海道においては、高校問題はもとより、「共に生き、共に学ぶ」インクルーシブ教育は、ようやく一歩を踏み出した現状にあります。高校集会の開催をきっかけに北海道も当事者と共に踏み出したいと思います。参加してくださった全国の皆さん、当事者団体の皆さん、北海道の皆さん、多くのボランティアの皆さん、札幌市に感謝します。ありがとうございました。

他、記事は以下の通りです。お読みになりたい方は、この機会にぜひご入会下さい。

障害児を普通学校へ全国連絡会会報 2014年10・11月329号目次
巻頭 報告します 第11回「障害児」の高校進学を実現する全国交流集会in北海道
  ~高校も分けないで! 一緒がいいっしょ!~
・濃密な時間の中で改めて存在の大きさを想う
  「楠敏雄・偲ぶ会 ―その人、その仕事、その思想―」に出席して
・普通学校もあかんねん その2
・分けない学校、分けない社会をめざして―インクルネット福岡の設立―
・つきそいなくそうNEWS vol.4
・つきそいなくそう全国キャンペーン賛同名簿
・医療的ケアを必要とする子の地域校での教育保障について市長前向きな回答
  ―たくさんの署名、ありがうございました
・お知らせ
・副島弁護士の死を悼む
・雑居まつり報告
・事務局カレンダー
・相談からコーナー 発達検査のテストを受けなさいと言われましたが
・事務局から