障害児を普通学校へ全国連絡会会報 2014年5月号 324号巻頭文

「第11回「障害児」の高校進学を実現する全国交流集会in北海道」へご参加を!

全国交流集会実行委員 青野比奈子

 二年に一度全国各地で開催されている「障害児」の高校進学を実現する全国交流集会は今年2014年9月20日(土)~ 21日(日)に、「高校も分けないで! 一緒がいいっしょ!」をテーマに北海道札幌市で開催されることとなりました。 昨年1月、全国連絡会からの要請を受けての検討、そして開催決定のあと3月から実行委員会を開き、夏と冬には2回のプレ集会を開催するなど着々と準備を進めてまいりました。 本番まであと4ヶ月と迫り、いよいよ準備も大詰めです。

 障害児の高校進学については、比較的進んでいる地域もありますがそれは一部で、全国的には障害のある子は特別支援学校へという流れになっています。実際に北海道も小中学校は地域の学校で過ごしていても高校は義務教育ではないのだからそうはいかないという考えがあるように私は感じています。

 私の息子はダウン症で現在中2です。小中学校と普通学級で過ごしていますが、就学や入学してからの親の付き添いなどその時代時代で様々な問題と出会い格闘してきました。先のことを考える余裕などなく、昨年息子が中学生になってから、さて高校はどうしたらいいのだろうか? という新たな問題に直面したのです。周りを見渡しても息子のように知的障害があって普通高校という例はほとんどありませんでした。

 高校は受験があるので点数がとれない子が入れないのは仕方のないことだという考えが、あたかも当たり前のこととして一般社会に広がっています。そして恥ずかしながら私にもその考えは違うと主張することの自信のなさや、主張しても無理なのではないかというあきらめがありました。その後この集会の実行委員として高校問題について考えていく中、しだいにその考えは変化してはいきましたが、実際に、では自分の子どもはどうするのか? という問いに明確な答えは見つけられずにいました。しかし、そんな私の悩みを払拭してくれたのが昨年12月に参加した千葉の「0点でも高校」をめざして25年~109人合格記念集会~」でした。そこで実際に普通高校への入学を目指して活動している方たちの話を聞き、卒業生や在校生たちの生の声を聞き、パワーを感じたことで、私自身息子の高校進学について、そしてこの北海道の高校集会に関わる実行委員の一人として取り組む覚悟ができたような気がします。障害があるが故に点数が取れないことは分かっていることなのに、それを誰もが行ける高校に行くための条件にされていることは差別であると確信することができたのです。

 このようなタイムリーな時期にこの高校集会の実行委員として関わることができたことは、私にとってとても幸せなことだと感じています。私は障害児の高校進学についての知識や情報について最近まで何も知らなかった保護者ですが、でもだからこそ、以前の私と同じような思いをされている方にもこの集会を知ってもらい、考えるきっかけになってもらえればと思っています。集会にはみなさまが様々な思いをもって参加されると思いますが、「誰にとっても分かりやすい集会」であることは必要だと感じています。

 今回、集会には全国から多くの方が参加されます。各地での活動内容も活動の仕方も考えかたも様々です。その思いと知恵をこの集会で語り合い、そして得たものをそれぞれが自分の地域での今後の取り組みに役立てていただきたいと思っています。

 障害児の高校進学の実現に向けてこれからも活動は続きます。そんな中で「あの時北海道に行って良かった!」と言ってもらえるような、そんな集会を私たち実行委員は目指しています。

 集会の内容ですが、まず1日目は開会式のあとシンポジウムを行います。「高校へ行こう! の今までとこれから~各地の取り組みから学ぶ~」をテーマに、愛知、神奈川、東京、千葉、埼玉、北海道の6団体が参加します。なぜ高校に行くのか、いかに行くのかなど本質的な課題を考える一方、運動を進めてきた各県の取り組みや状況、成果と課題などについてお話ししていただきます。
 シンポジウムのあとは「高校へ行こう! 全国リレートーク」です。高校へ行って楽しかったこと、困ったことなど自由に発言していただきます。当日飛び入り参加大歓迎です。

 2日目の分科会は以下の4分科会に分かれて行います。
〈第1分科会〉高校へ行こう(なぜ高校なのか、受験時の合理的配慮)
〈第2分科会〉高校でくらす(高校での合理的配慮)
〈第3分科会〉高校からつながる社会(進学、地域で暮らす)
〈第4分科会〉ともに生き、ともに学ぶ(差別されたこと、権利条約と差別解消法)
各分科会で活発な意見交換がなされることを期待いたします。

9月の北海道はもう涼しく過ごしやすい季節です。でもみなさんのパワーでまた北海道を真夏のように熱くさせて下さい!全国の多数の皆様のご参加をお待ちしております。

他、記事は以下の通りです。お読みになりたい方は、この機会にぜひご入会下さい。

障害児を普通学校へ全国連絡会会報 2014年5月324号目次
・巻頭「第11回「障害児」の高校進学を実現する全国交流集会in北海道」へご参加を!
・「障害児」の高校入試の状況(二〇一四年春)
・事務局カレンダー 5月・6月
・シリーズ憲法改悪10 —「歴史」と「主語」をキーワードに憲法を読む
・ホームルームで話したこと
・相談からコーナー『子どもが学習の遅れを気にしているのですが』
・全国連・初の連載小説 第18回『ただやみくもな、わけではない』
・三澤了さん・楠敏雄さん——お二人を偲びその遺志を継ぐ
・障害児を普通学校へ・全国連絡会 全国交流集会一覧
・第17回全国交流集会実行委員募集
・事務局から