障害児を普通学校へ全国連絡会会報 2023年6月415号巻頭文
支援級からの転級希望が増えている
~昨年の相談から~
東京都・運営委員 片桐健司
昨年も、たくさんの相談が全国連絡会に寄せられました。相談内容としては、就学前に、普通学校(学級)を希望しているのに特別支援学級や特別支援学校を強く勧められる というものが相変わらず多くありました。年中とか年小、あるいはもっとお子さんが小さい方からの就学先をどうしようか迷っているという相談もありました。もうひとつ多か ったのは、特別支援学級にお子さんを通わせている保護者の方からの相談です。
学校(先生)の対応がよくなく、子どものことをちゃんと見てくれない(教えてくれない)、あるいは特別支援学校に行くように言われている、などです。その他、特別支 援学校の対応がひどくて普通学校に転校したいという相談や、担任が子どものできないことばかりを言ってくるといった相談もありました。
そういう中で例年に比べて多かったのは、特別支援学級から普通学級へ転級したいという相談でした。入学するときには特別支援学級に入れてしまったが、他の子どもたち と一緒の教室で学ばせたいというものです。高学年での相談もありましたが、小学校2、3年生での相談が数的には多かったです。
これについては、先の会報4月号(413号)の「相談からコーナー」にも書きましたが、特別支援学級の担任に普通学級へ行きたいと言うと、ほとんどは、「とんでもない 、無理です」とあっさり断られてしまいます。それで、「何度、言っても聞いてくれませんが、どうしたらよいでしょうか」という相談のメールや電話が来ていました。
これについては、先の会報4月号(413号)の「相談からコーナー」にも書きましたが、特別支援学級の担任に普通学級へ行きたいと言うと、ほとんどは、「とんでもな い、無理です」とあっさり断られてしまいます。それで、「何度、言っても聞いてくれませんが、どうしたらよいでしょうか」という相談のメールや電話が来ていました。
これも、前にも「相談からコーナー」で書いたように、担任には転級を止める権限も転級させる権限もありません。とりあえずは校長へ、さらに教育委員会の窓口に行って 希望を言わないと話は進まないと伝えました。
保護者がそうやって動いたときに、多くの学校でとるパターンが、「それでは交流して様子を見ましょう」というやり方です。学校としては、「交流して普通学級での学習 が可能なら転級してもよいですよ」というのです。これは、学習がうまくいかなかったら転級させないということの裏返しで、結局はできないことの方が多いと「転級は無理で す」という結論を出して話を止めたり、「交流時間をもう少し増やして様子を見ましょう」などとずっと交流を続けて結論を出さないままにしてしまったり、という例が多い です。
転級するのは、何かができるようになったからではなく、当たり前にみんなと一緒がいいからだということを強調して「交流はいいから、○年になったら(○学期になった ら)転級します」と期限を切って、希望を強く言うようにと勧めてきました。
転級の話を進める段階で教育委員会の就学相談にかけるように言われるところもあります。ここは、できる・できないで子どもを「判定」するところですから、話がそこで止 まってしまうことが予想されます。就学のときに苦労したから、二度と就学指導委員会にはかかりたくないと思っている方も多いかと思いますが、まずは就学相談ははっきり断る か、それが通らないなら相談を受けてもその判定結果には従わないことが大切です。昨年は、特別支援学級判定が出た子に対して、判定が出たのだからと転級をなかなか認めよう としないことがありました。そこで、全国連絡会も関わって学校、教育委員会に障害者基本法の「本人・保護者の意向尊重」をしないのは法令違反だと伝え、転級を認めさせまし た。このときは、その子の学校が学区域外だったため、普通学級に移りたいなら学区域の学校に転校しなければいけないと、ある種の意地悪をされましたが、本来の学区の学校が いいと、その子は転校して新年度から普通学級に通っています。 このように、最後までがんばればなんとか転級できますが、転級希望を担任に伝えることから転級実現まで、2年、3年とかかってしまうことが多く、今も相談が続いている方 も多いです。これらの相談も、なんとか保護者と協力しながら良い方向にもっていけたらと思っています。
他、記事は以下の通りです。お読みになりたい方は、この機会にぜひご入会下さい。
●巻頭 支援級からの転級希望が増えている~昨年の相談から~/転校を希望しています▼支援学校から普通級へ/地域の小学校で共に学びたい▼支援級から普通級へ /わきまえた親から わきまえない親に/19年目の高校受検/大学生活が始まりました/4・27文科通知をめぐる大阪の騒動/新運営委員になって/全国交流集会(広島)への参加 受付を開始します/篠原睦治さんを偲んで/各地の集会・相談案内/事務局から/事務局カレンダー